悲しい条文 ~ 秋分の頃’16

 

 来週の920日~26日は「動物愛護週間」です。広く国民に、動物を愛し大切にすること、適切な飼育についての理解と関心を深めてもらうためこの期間、国や地方自治体、各関係団体等が協力して、動物の愛護と管理に関する普及啓発のためのさまざまな取り組みやキャンペーンが実施されるわけです。こうした「~週間」あるいは「~強化月間」などはよく見聞きしたりすると思います。動物愛護週間もそのひとつなのですが、意外と知られていませんが、実はこれ法律に謳われている決まり事、つまりれっきとした法律の条文でもあるのです。


「動物の愛護及び管理に関する法律」(いわゆる動物愛護管理法)

第4条  ひろく国民の間に命あるものである動物の愛護と適正な飼養についての関心と理解を深めるようにするため、動物愛護週間を設ける。

2  動物愛護週間は、九月二十日から同月二十六日までとする。

3  国及び地方公共団体は、動物愛護週間には、その趣旨にふさわしい行事が実施されるように努めなければならない。


でも、特定の目的の運動キャンぺーンとその期間までが、いかつい法律でわざわざ決められているなんて何だかちょっと不思議な気もしますね。

ここ何年かの間に、ペット連れの人を街中で見る機会がぐっと増えました。実際最近では、家族だけでなく独り暮らしの若年層やカップル、高齢者にも飼育する人が増えているとのこと。都市化、少子高齢化が進み、様々なストレスや悩みを抱える人々が増える中で、家庭で動物を飼うことによって人の心身に良い影響を及ぼし、生活に潤いを与えるなど重要性が注目されているのはご存じのとおりで、ペット関連の産業や事業も拡大傾向で、すでにペットは単なる愛玩動物から「伴侶動物」、大切な家族や人生のパートナー、自己の一部としてさえ考えられるようになったといっていいかもしれません。

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そうした一方で、ペットにまつわる様々な問題も深刻さを増しているようです。行政や関係団体等に寄せられる苦情や相談、遺棄・虐待の事例は減ることはないようですし、ペットをめぐる訴訟も増えつつあるといいます。しかし、最も深刻なペット問題は、殺処分、すなわちさまざまな理由から行政が引き取り収容し、最終的に処分される運命にある犬や猫の命です。

身寄りのないペットが保健所で処分されているということは聞いて知っている人は多いと思います。しかし、その数がどのくらいほどのものかを知っている人は多くないのではないでしょうか。最新の国の統計によれば、平成26年度、全国で収容された犬と猫の総数は151,095頭、そのうち返還されたり新たな譲渡先に貰われていった数が50,217頭。そして残る101,338頭の犬と猫が『殺処分』されていきました。普段私たちの身のまわりでよく見かけると同じあの愛らしいペット達が、1年で10万頭以上、人の手によってやむを得ず処分される。これがこの国の現状です。この10万という数があまりにも多いと思う方には、さらにショックなことかもしれませんが、かつてペットにまつわる法的トラブルの問題の調査に携わったこともあり覚えているのですが、10年ほど前にはその殺処分の数は40万頭を超えていたのです。その間、動物愛護管理法の改正や行政、関係各機関団体等のさまざまな取り組みと努力によって、その殺処分数は近年になってかなり減ってきました。しかし、それでもいまもって10万頭以上、どのように考えてもこの数は重すぎます。そしてその多くが、残念ながら私たち人間側の「生活都合」との引き換えに差し出された命なのです。


・引っ越しで飼えなくなった。

・子どもにアレルギーが出た。

・以前から飼っていたペットとの相性が悪かった。

・思っていたよりも大きくなってしまった。

・仕事が忙しくなってしまった。

・子どもが生まれつい世話をする時間がなくなってしまった。

・近所から苦情がきた。

・病気や高齢で世話が難しくなった。

・ペットショップ経営に行き詰まった。


「飼い始める前に、彼らと幸せに暮せるかを熟考し、目の前の命を慈しみ、そして、大切に最後まで飼うという、飼い主としてあたりまえの責任を果たすことで42万頭という数は確実に減らせるのです。」(平成18年環境省自然環境局総務課動物愛護管理室発行パンフレットから)

当たり前のことですが、ペットもわれわれ人間も「命」ある、その尊厳が守られるべき生き物であることには変わりありません。私たちは、何をもって過去おびただしい数の犬や猫の殺処分を「やむを得ない」こととして見過ごし、知らぬふりをしてきてしまったのでしょう?こうしたペットを取り巻く状況を思うにつけ、法律条項にことさらに愛護週間を定めなければならないこの動物愛護管理法の第4条は、胸がつまる悲しい条文に思えてならないのです。

次回は、私たち人の命について触れたいと思っています。


✽参考にご覧ください

統計資料 「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」(環境省自然環境局 総務課 動物愛護管理室)

動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針(平成18年環境省告示第140号)


最後までお読みいただいてどうもありがとうございます。

メンタルケア&カウンセリングスペース C²-Wave 六本木けやき坂

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by yellow-red-blue | 2016-09-17 17:26 | Trackback | Comments(0)

「いま」について日々感じること、心動かされる体験や出会いなど、時にカウンセラーとして、また時に仕事から離れ、思いつくまま綴っています。ブログのどこかに、読む人それぞれの「わたし」を見つけてもらえたら、と思っています。


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