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”過去の黒いオセロの駒を一つずつ白にひっくり返していこう”
”「過去は変えられる」である。過去の事実そのものは変えられないが、過去に対する意味付けは変えることができる。人は意味付けの中で生きているので、意味付けが変わることは、過去が変わることに相当する。それくらい、意味付けへの操作は重要である”
 (「大人のトラウマを診るということ」青木省三、村上伸治、鷲田健二 編 医学書院2021年)


なつさん(仮名)
こんにちは。メールを拝見いたしました。
「支離滅裂な話ばかり言ってすみません」なんてそんなこと決してありませんよ。むしろ言葉を慎重に選んで自分の気持ちを表現しようと努力なさっていることが伝わって、なつさんの理解がより深まっていると感じます。

さて前回のカウンセリングでも触れましたが、これからはできるだけ「憶測」や「自分の思い込み」ではなく、「事実」や親しい人にかけられた「言葉」に目を向けるようにしていきましょう。

なかなか、周囲の人の言葉をすぐには受け取れないかもしれませんね。お世辞だろうとか逆にイラついたり、周囲の人がみな自信満々で素敵に見えしまうかもしれません。そして自己嫌悪の嵐だったりです。
でも、ときには、なつさんを気遣う人の意見や考え、初対面の人の印象を、そっくりそのまま信じてしまうことも必要です。(ほら、なつさんの容姿を含めた周囲の評価は全然悪くないではありませんか!!)

それはある意味「人を信頼してみる」ということですし、それがまた「自分を信じること」自信にもつながっていくように思います。自分を信じることに周囲の目や意見など本当は必要ではないのですが、「ええい、この際信じてしまえ!」とたまにでも開き直れたらいいですね。

でもやっぱりむずかしいですね。そんなことちゃんとできている人なんてあまりいないと思います。できないならできないで今は構わないと思います。年頃の女性だったら、容姿やファッションに過敏すぎるくらいになるのは当たり前、欠点やコンプレックスかかえて生きるのもまた私たち人間なのですから。

ただ、自分の頭に自然と沸き上がってくる何かネガティブな思いがあったら、「ああ、そらそらまた来たな。」ってちょっと考えてみてください。それホント?どんな根拠がある?そうかもしれないけどこうも言えない?って。胸に湧き上がる敵意だったり不安だったりを少しだけ冷静になって一息呼吸置いてみて。

なつさんのいまの心の中では、自分の「ダメなとこリスト」の作成に集中しているかもしれませんね。でも、これからはもっと「いいとこリスト」作成にも力を注いでいけるといいですね。(いまでも少し記録なさってますが)どんな小さなこと、小さな出来事でもいいんです。そんなこと当たり前、簡単、だれでもやっている、偶然、とか思わないでもっとポジティブな自分をそっくり受け止めていくことも悪くないです。自分を少しずつでも信じていければ、自分にとって本当に必要なこと、気にも留める必要のないもの、これからすべきことも見えてくるはずです。コンプレックスを「目をそむけていたい欠点」とはもっと違った視点で眺めることができる工夫を一緒に考えていきましょう。

次回もこのテーマについて引き続き話し合っていきましょう。なつさんのお考えを遠慮なくいろいろとお聞かせください。
来週またお待ちしております。

(自分の容姿について悩む20代女性からのメールへの返信から。直接面談にメールを組み合わせたカウンセリングを実施)


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村上(仮名) 様

こんばんは。メールを拝見いたしました。ありがとうございます。
来週またお会いして詳しく話をお伺いいたしますが、少しだけコメントさせて頂きます。

確かに先日私は村上さんに『もっとご自分に自信をもって大丈夫なのではありませんか』とお話しましたね。でも「自信を持つこと」本当は人生で一番むずかしいことなんです。古澤さんに過去そうした言葉をかけてきた方々は私を含め、けっして自信をもって生きてきたわけではなく、なんとか「そうありたい」「そうしなければ」と願ってきたのだと思います。古澤さんの中にそうした自分達を見るゆえの(自分達にも向けた)言葉掛けなのでしょう。

たぶん自信を持つとは、人それぞれが固有な存在であって同じ人はいない、だからこそ人生にはそれぞれの生きる意味や役割があっていいのだ、ということを当然のこととして受け入れ前に進むことなのだとも感じてます。いつも自分と周りを比較し他者からの評価や承認が自己を評価する唯一の基準であるような人生を送ることと少し距離を置いた生き方を見出すこともまた私たちに必要なのではないでしょうか。

先日「中年期の危機」という言葉を話題にしましたが、もともとこの危機(英語でクライシス)という言葉の語源は、ギリシャ語の「カイロス」で、本来は神との出会い、運命のときを意味する言葉です。単に危ないだけでなく、それが転換点、より良い方向への変化や気づきのきっかけにもなり得るという意味と捉えられるのです。今回のカウンセリングを通じて村上様の悩みが今後の人生にとって意義深い「危機」でもあったと後に振り返ることができるよう少しでもお手伝いできればと考えております。
来週またお会いしてあらためて話し合いましょう。

(職場や家庭での人間関係についての悩みを持つ40代後半の男性。「昔しばしば『自信を持って』をキーワードのように色々な人から言われていたが、久しぶりに前回のカウンセリングの場で同じ言葉を聞いてふと考えさせられた」との感想メールへの返信から。)


***

佐々木(仮名)様

メールどうもありがとうございます。
次回まで少し間があきそうですので、前回のカウンセリングの内容についてこの場を借りて少しコメントをさせてください。

佐々木様がご主人について、無理に「変えようとしないこと」と「変化を起こしやすい環境づくり」に気づき始めている(無意識でも)ことがとてもいいことのように思えました。矛盾するように思えるかもしれませんが、(誰かに)変化を期待するのであれば、相手を変えようとしないことが意味をもつこともあります。人はそれぞれに納得のいくプロセスがあるもので、変わるとき(変化への準備が整ったとき)には変われるし、それ以外は変わるのはなかなか難しいものです。人はそれぞれに前進する力を持っていてそれが様々な要因によって妨げられているに過ぎず、本来の力を引き出す環境を整えていけば自然と前に進むという考え方もときに悪くありません。

変えようとすると相手の抵抗を生んでしまい、逆効果になってしまう場合も多いように感じます。「変えようと求めること」はつまり「(相手の)現状を否定していること」とも言えるからです。ご主人さんのふるまいは傍から見ると「問題行動」なのかもしれませんが、本人にとってみれば、苦しみやつらさへの精一杯の「対処行動」でもあるといえます。そこをできるだけ理解しようとしていくと随分違った見方や接し方に結びつくと考えています。

ただ、佐々木様の気持ちをご主人さまにぶつけるのを控えるような話をしましたが、それはあくまで感情的に不満をぶつけたり一方的に責めるようなことは避けた方がいいという意味です。夫婦なのですから、自分の気持ちを率直に伝えるのは悪いことではありませんし、ご主人に佐々木様もまた不安なのだということを知ってもらうことは必要なことだからです。その代わり、相手から言われたことに対して反射的に反応したりせず、じっくり耳を傾け、話してくれたことについては感謝の気持ちを伝えることも大切だと思います。今すぐにそんなチャンスはやって来ないかもしれませんがあせらずにいましょう。

カウンセリングのなかではうまく考えがまとまらなかったり、こちらの考え方に同意できないようなことがあったとしても、心配したり遠慮なさる必要はありません。佐々木様の感じたままを大切にしながらこれからも話し合っていきましょう。
次回お待ちしています。

極度のストレスが原因で休職中の夫についての30代女性相談者への返信から。面接相談によるカウンセリング実施) 


最後までお読みいただいてありがとうございます。
 (当ブログ記事で言及されているエピソードや症例等については、プライバシーを配慮してご本人からの掲載許可をいただくか、もしくは文章の趣旨と論点を逸脱しない範囲で、内容や事実関係について修正や創作を加えて掲載しています。)


傷ついているあなたへ② ~ 小暑の頃’21_d0337299_22582596.jpg


# by yellow-red-blue | 2021-07-08 12:33 | Trackback | Comments(0)

「いま」について日々感じること、心動かされる体験や出会いなど、仕事、また時に仕事から離れ、思いつくまま綴っています。記事のどこかに、読む人それぞれの「わたし」や「だれか」を見つけてもらえたら、と思っています。


by yellow-red-blue
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